2-1. プロットって? – あらすじ・構成・プロットの違い

プロットというのは、ざっくりと言ってしまえば、脚本の全体の構成を短くまとめたものです。どこまで書いたものをプロットと呼ぶのかは人によって違い、全体のざっくりしたあらすじをプロットと呼ぶ人もいます。

僕の場合は「シーン1 〜〜〜」「シーン2 〜〜〜」というように、シーンごとに書く内容をまとめ、書くべき内容は全てここにある、後はセリフにするだけ、というところまで書き込みます。
(と言いつつも、プロットで煮詰まると、できてるところまで書いてみて「こいつ、この時点で、こんなこと思ってるのか…」などとキャラクターを理解してから、またプロットに戻ることはよくあります)

では、プロットに書くべき内容は何か、というと、それは登場人物の行動です。

あらすじ・構成・プロット

これも人によって言葉の使い方が違うので、あくまでもこのページの中での用法と考えてください。

あらすじ

僕はあらすじというものを「観客に“表向き”見えるものを小説のように書いたもの」と考えています。それを読めば、観客がこの作品を通じてどのような体験をしていくのかが、短時間で理解できます。

作品全体のあらすじを書くこともあれば、1シーンだけのあらすじを書くこともありますが、細かい点は省いて重要な点だけを書き起こす、という点では変わりません。

ここで重要なのは、観客の視点で書く、ということです。
たいていの場合、あらすじというのは「この物語はこういう話だよ」と別の人間に伝えるために書かれるものです。その短い情報で「見たい!」「読みたい!」と思ってもらったりしなければならないので、この物語を見ればどれだけ素敵な体験ができるかに焦点を当てて書かれるべきです。
(繰り返しますが、僕の考える定義ですよ!)

構成

僕が一番重要視しているものです。この講座の中でも、何度もこの言葉が出てくると思います。僕はこの構成という言葉に、2つの意味を持っています。

◇観客の印象の連鎖(=印象の構成)

これはあらすじの定義に近いですが、もっと詳細なものです。前のページですでに 「客の印象をコントロールする」のページを読まれた方は、そこでこの意味での構成という言葉を使っていたことを知っていると思います。

観客(=読み手)に対して、まずこう思わせて、次にこんなことを感じさせて、さらにこう思わせる、という、観客がどう楽しんでいくか、の順番を表したものです。しかし重複するので、この説明は前述のページに譲るとしましょう。

◇キャラクターの行動原理を並べたもの(=行動の構成)

そのシーンに登場するキャラクターが“なぜ”そのような行動をするのか、それを端的に書き表したものです。それはすなわち、作中に起こる様々な出来事が“なぜ”起こるのか、作中に“何が”必要なのかを示したものともいえます。長文よりも箇条書きの方が向いています。

ちょっと分かりづらい説明になってしまいましたね。この後で例を挙げて説明するので、そちらを参照してください。先にプロットの定義もお話ししてしまいましょう。

プロット

2つの意味の構成をきちんと考えた上で、読みやすくまとめたものです。構成入りのあらすじ、と言ってもいいかもしれません。これを読めば、全てのシーンのキャラクターの行動原理も、観客からどう見えるのかも分かるというわけです。

僕の中では、あらすじやプロットは人に見せるもの、自分が書くために必要なのは構成、と思っています。

あらすじ・構成・プロットの例

では、例を見てみましょう。これは僕が勝手に考えたものですが、物語の冒頭部分だと思って読んでください。

◇あらすじ

町にやってきた少年Aは、そこで少女と出会い、命を救われる。

◇行動の構成

  • 家族を失い、やっとのことで町にたどり着いた少年A。
  • 空腹に耐えかね、盗みを働こうとするが失敗し、袋だたきにされる。
  • 体力も気力もつき、このまま死んでしまおうかと考えている。
  • 少女Bがやってきて、パンを渡される。

◇プロット

戦前のヨーロッパ。貧しい身なりをした少年が、フラフラと町に入ってくる。にぎわう町の市場で盗みを働いた少年は、店主に袋だたきにされるが、町の人たちはそれを気にする様子もない。やがて店主は去り、倒れたまま動かない少年。少年の目は、ぼんやりと空を見つめている。そこに、同じように貧しい身なりをした少女が、おずおずと近づいてくる。「あの…」少女は、少年に小さなパンのかけらを差し出す。


違いが分かるでしょうか? あらすじでは、ざっくりと起こった出来事を書いているだけです。(差が分かりやすいように、そっけなく書いてますが…)それに対して構成では、なぜ少年がボロボロな様相をしているのか、なぜ盗みを働かなくてはならないのか、なぜぼんやりと空を見ているのか、少年の行動原理が全て書いてあります。

しかし、その全てを観客も知っているわけではないことに注意してください。このプロット上では、少年が「家族を失っている」かどうかは、まだ明らかにされていません。なぜ空を見上げているかも、描き方次第では観客は分からないでしょう。

構成が自分のためのもの、と言ったのはこのためです。自分が書くべきものを、自分できちんと理解するために、構成を整理することはとても重要です。

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