2-2. 物語を形作るもの – キャラクター・関係性・目的・場所

ここでは、物語を生み出すために必要な要素について話しておきたいと思います。言葉の定義の話が続きますが、この先の講座を進める上でとても重要なことです。ちょっとだけ我慢してください。この四つの要素が、どのように物語の中で活きていくのかは、すぐに分かります。

目次

キャラクター

物語に登場する人物です。
ですが、ここで言うキャラクターとは、ただのキャラ設定というだけではなく、その時点のその人物の状態も含みます。この状態というヤツが重要です。

怒っているのか、楽しんでいるのか、幸福なのか、絶望のどん底にあるのか…。

もちろん、これは一言で言えるものではなく、物語が進むにつれて、非常に複雑な状態を持つことになるでしょう。しかし、キャラクターの状態が分かっていなければ、適切に行動させることが出来ません。

関係性

あるキャラクターと別のキャラクターの関係です。
これも設定とは違います。ある状態を抱えたキャラクターある状態を抱えたキャラクターの間に存在する今現在の関係性です。

ざっくりした言い方をしてしまえば、幼なじみで普段は双子みたいに仲良しだけど、今はAの事件のせいで気まずくなってる、みたいなことです。

これは、キャラクターの状態が変われば、常に変わります。瞬間瞬間で変わると言っても過言ではありません。むしろ、変わらなければ面白くありません。「この二人はこういう関係」というように、静的なものとしてとらえずに、この関係性がどう変化していったらおもしろいか、というように、動的なものとしてとらえるべきです。

しかし、これも読み間違えると適切な会話が出来なくなります。

目的

あるキャラクターが、何を目的にそこにいて、その行動をしているのか、ということです。

あるキャラクターと別のキャラクターの目的がかち合えば、そこに対立が生まれます。たとえば、なるべく目立たずにこの場を立ち去りたいAと、久しぶりに会ったのでゆっくり話したいBがいれば、両者の間には対立が生まれ、コメディ的な空間が生まれるでしょう。

物語を動かして行くには、適切な目的の設定が欠かせません。

場所

場所というものは、観客に物語の世界を想像させる基礎を与えます。ここはこういう場所なんだな、そこでこんな二人がで会ったんだな、さてどうなるんだろう、と考えていけると、入り込みやすいのです。

場所の設定がないままでは、いくらキャラクターが生き生きしていても、なんだか無重力の中に放り出されたような、落ち着かない印象を与えるものです。ホラー映画でどこか分からないところに、いきなり放り出されたような感覚です。(それを意図するなら、良いのですが)

また、キャラクターに対しても、そのシーンにおける基礎心情を生み出すことが出来ます。怖い場所にいるキャラクターは、常に何かにおびえるものですし、恐怖ゆえに突発的な行動を起こしやすくなります。

また、ある関係性を表現する上でも重要です。決闘を前にした男二人は、たいてい緊迫した空気感のある場所にいるものです。逆に、緊迫した場所にいれば、その二人の関係性を何もしなくても説明できてしまう、ということです。

このように、場所は様々な補足要素として有用ですし、間違えると著しく観客の想像力を阻害します。

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この記事を書いた人

渡辺和徳のアバター 渡辺和徳 9PROJECT LLC 代表社員

脚本家・演出家、9PROJECT LLC代表
(一社)日本文化大衆演劇協会アドバイザー

1999年、北区つかこうへい劇団に入団後、つかこうへいに文才を認められ、氏のもとで作・演出を学ぶ。現在は舞台、映像を問わず数多くの脚本・演出を手がける他、演技・脚本・児童向けアウトリーチ活動など、各種ワークショップの講師も行っている。

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