2-7. 寄り道 – 自分の書いたものに執着してはいけない

アイデアというものは、連鎖で生まれてくるものだというお話は前にしました。

あれも出来るんじゃないか、これも出来るんじゃないか、だったらもっとこうしてみようか…。そうやってどんどんと連鎖させていった結果、本来の筋からかけ離れたところに行ってしまうことは良くあることだと思います。

そんな時に「ああ、使えなかった」と捨ててしまう前に「もし、これが正解だったら…?」と考えてみてください。自分がまったく想像もしていなかったこと、想定していたプロットから大きく離れたもの、それを一度受け入れて「それこそ正解」だと考えてみるのです。そうすると「これはこれで意外とおもしろいぞ…?」となることはよくあります。

あるいは、遠く離れてしまった筋を、一瞬で元の流れに戻す展開を考えてみてください。大きな変化は、時にダイナミックでおもしろい展開を生み出します。絶対に無理そうな変化をうまく編み出せた時、自分だけの構成や斬新な変化が生まれてくるかもしれません。

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一見繋がらない二つをつないだときに、新しいものが生まれる。

以前の「脚本の書き方講座」では口うるさいくらい何度も言っていたのですが、今回の新版では余りお伝えできていないことが「漠然と考える」「変わったら、変える」「くり返し考える」ということです。
新しい発想の種は、いつどこで生まれてくるか分かりません。

  • おもしろそうなアイデアが生まれた
  • とりあえず一回それに乗っかってしまう
  • 思いつく限り、それを連鎖させていく
  • それを正解だと考え、だとしたらどうなるかをプロットに当てはめてみる

自分で自分の想像力を限定してしまうことほど、クリエイターにとって無駄なことはありません。自分の書いたものに絶対に執着せずいつでもどこでも変えられるという心積もりで書く。それが何より大事です。たとえそれで、もともと考えていたものが跡形もなくなってしまったとしても、それは自分の中に糧として残り、次の作品に活きていきます。

あなたが書く作品は、これからも無数にあるのです。

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この記事を書いた人

渡辺和徳のアバター 渡辺和徳 9PROJECT LLC 代表社員

脚本家・演出家、9PROJECT LLC代表
(一社)日本文化大衆演劇協会アドバイザー

1999年、北区つかこうへい劇団に入団後、つかこうへいに文才を認められ、氏のもとで作・演出を学ぶ。現在は舞台、映像を問わず数多くの脚本・演出を手がける他、演技・脚本・児童向けアウトリーチ活動など、各種ワークショップの講師も行っている。

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